痛い手術…驚きの器具で進化 「副鼻腔炎」患者200万人 患者負担減らす最新“鼻”治療
先日は、久々に耳鼻咽喉科医師三人体制で手術に臨みました。
左 御厨医師 真ん中 進 右 関医師です。
我々は最新の手術が行うことができるように様々な医師を招聘し手術加療を行なっています。
関医師には2022年以下の論文の指導をいたしました。
『下咽頭に生じた巨大な軟部腫瘍の2症例』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshns/32/1/32_32.39/_pdf/-char/ja
テレビで副鼻腔手術に関してわかりやすい動画がありましたのでご覧ください。
当時は、大学病院しかできなかった機器を当院でも同様の使用して手術を行うことができることは鼻科手術の強みだと感じています。
ナビゲーションは今年度導入を目指しています。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000303180.html
花粉症のシーズンが終わっても“鼻づまり”続いていませんか?
長引く鼻づまりは、「副鼻腔(ふくびくう)炎」の可能性もあります。
蓄のう症とも呼ばれるこの病気。患者は200万人いるとも言われ、悪化すると頭痛や喘息、さらには、失明や脳に障害を与える可能性もあります。
10年間鼻づまりに悩まされる男性の手術に密着。「鼻の手術は痛い」というイメージを覆し、患者の“負担減”につながる新たな技術が導入されていました。
■歯茎を切らない…負担少ない手術法
山梨県甲府市。コンサルタント会社を営む吉田孝之さん(仮名・49)。10年ほど前から、副鼻腔炎に悩まされてきました。
吉田さん(仮名):「鼻が臭わない。味が分からなくなります。この辺が重くなる。集中力がなくなってしまうので」
人の鼻の穴から続く鼻腔。その奥には、副鼻腔という空洞があります。頬の両脇、目と目の間、額の奥、そして鼻の一番奥です。これらの副鼻腔に細菌などが入ったり、アレルギーを起こしたりするなどして炎症が起きるのが、副鼻腔炎です。
鼻水がドロッとしていたり、黄色がかっていたり、のどに粘り気のある鼻水が流れてきたら要注意。悪化すると、粘膜がむくんだり、膿がたまったりすることで、鼻の入り口をふさいでしまいます。
鼻づまりはもちろん、せきやたん、頭痛、吐き気などが起こり、それが原因で睡眠不足になることも少なくありません。
5月、吉田さんが訪れたのは東京慈恵会医科大学付属病院。副鼻腔炎の手術は、毎年およそ約1000件の手術件数を誇ります。
吉田さんを治療しているのは、鴻信義医師(59)。この道30年以上の「鼻」のスペシャリストです。
吉田さんのCT写真。黒い部分が空洞ですが…。
鴻診療副部長:「鼻の一番奥は一応空気が入っているのですが、一番大事な、目と目の間に全然空気が入っていない。においの神経の周りに炎症、病気があるので、においがよく分からないんですね」
正常な副鼻腔の写真では、目と目の間は黒く映っています。
しかし、吉田さんは、通常黒い部分も鼻水で埋め尽くされています。
10年来、抗生物質で治療してきたものの、その効果は限定的でした。
鴻診療副部長:「こうだと絶対手術だとか、絶対というのはないんです。薬で良くなりきらなくて、すぐぶり返す。そのヒストリー(経過)を見ていると、リセットを徹底的にやったほうが、今後まだお若いですから、先々ずっと楽になるのかなと思います」
近年、副鼻腔炎でも様々なタイプが確認されています。
アレルギーなどが原因のタイプは抗生物質など薬を使った治療がメインですが、原因がカビだったり、鼻にポリープができたりした場合などは手術が必要になる可能性もあります。
吉田さんはポリープがあったため、手術を選択しました。しかし鼻の手術といえば…。
鴻診療副部長:「昔、歯茎を切って、トンカチとノミでやる手術はすごく痛かった」
当時は局所麻酔での手術。写真を見ると、看護師が患者を抑えています。
その後、慈恵医大病院では歯茎を切らない、鼻の穴からの手術を開発。負担が少ない手法を目指しました。
■医療機器進化…「手術時間」も短縮
“痛い”手術から60年。最新の鼻の手術とはどのようなものなのでしょうか?
執刀するのは、鴻医師です。かつては局所麻酔だった鼻の手術も、今では全身麻酔が基本。痛みも少なくなっています。
鼻の治療も今は、内視鏡の時代。そしてもう一本、手にした器具があります。
鴻診療副部長:「昔は鼻の中を掃除するのは、ハサミと管で吸い取っていったのが、(今は)マイクロデブリッダー。色んな支援機器というのが、だんだん質が良くなってきて」
鴻医師が鼻に入れていたのは「マイクロデブリッダー」という器具。先端が回転するカッターになっています。このカッターで、副鼻腔にたまったむくんだ粘膜や膿を削り取り、吸い込んでいきます。
鴻診療副部長:「勝手にどんどん病気の部分が吸われてくる。非常に便利」
一方で、内視鏡の映像だけではどこを治療しているか、分かりにくいというデメリットもあります。しかも、副鼻腔の位置は目の奥や脳と隣接している、繊細な場所にあります。
そこで登場したのが、モニターの横にある「手術ナビゲーション」といわれるシステムです。マイクロデブリッダーと連動しており、縦と横の線が交わったところが、今、治療している場所を示しています。
鴻診療副部長:「カーナビと同じで、今どこを触ってるか、手術がどこに向かってるかというのが、よく術者に分かります」
すべての副鼻腔の膿などを吸い出したら手術終了です。
医療機器の進化で、手術時間も短縮。かつて3時間かかっていた手術も、2時間で終わるようになりました。
吉田さん(仮名):「(Q.痛み、大丈夫ですか?)多分、痛み止めが効いていると思うので。そんなに痛みは感じないです」「(Q.気持ち悪さは、ないですか?)気持ち悪さもないですね」
■手術から3週間…嗅覚も徐々に回復
手術から3週間。吉田さんの状態は?
吉田さん(仮名):「何となくこのへんが重い感じがずっとあったんですよね。それが一切なくなりました」
嗅覚も徐々に回復。好きなコーヒーも、今まで以上に楽しめるようになったといいます。
吉田さんの入院は手術の前日から3日間。費用は保険適用でおよそ9万円がかかりました。
最新テクノロジーを駆使した鼻手術の新時代。今やこの手術法は、全国のスタンダードの一つとなっています。
数多くの医療機関を取材する、医療ジャーナリスト伊藤隼也氏は、大学病院の役割をこう語ります。
伊藤氏:「大学病院の使命というのは、新しい手術法を開発したり、広く今、世の中でやられてる手術を改良していくことをやれる場所。(今は)最善の手術というのが、少しずつ変化している時代だと思います」